人の心を動かすもの
昨日、勉強仲間に勧められて、ある番組を見ました。
20分くらいの短いものでしたが、
「人の心を動かす”物語”の力」というタイトルで、
簡単にまとめてしまうと、
「自分の活動を人に話し、その活動に共感してもらうための話し方を学ぶ人たちの話」です。
もう少し詳しく説明しましょう。
昨年12月に来日した、マーシャル・ガンツ博士を知っていますか?
多様な人々を結びつける市民運動を理論化し、
「分断されたアメリカを1つにした男」として有名です。
オバマ氏を大統領に導いたことでも知られています。
このハーバード大学講師のガンツ博士が昨年12月に来日した際、
日本全国で活動する47人のNPOの代表を集めて、ワークショップを開催しました。
番組は、そのワークショップの様子を中心に構成されていました。
ガンツ博士は、人と人をつなぎ、動かすことが出来るのは”物語”だと言います。
ストーリー、つまり、お話しですね。
このワークショップに集まるのは、NPOの代表者たちなので、
それぞれ、震災、いじめ、介護など、
地域の問題や社会問題に本気で取り組んでいる人たちです。
その問題解決のために重要なのは、
人の心を動かす”物語”だとガンツ博士は力説します。
ワークショップの中では、
実際にいじめ撲滅の活動をしているアメリカ人のスピーチを流し、
どのように話をしているのかを学びます。
ここで重要になるのが、話の組み立て方です。
ガンツ博士によると、
まず「私」(自分自身の話)
次に「私たち」(私の話がみんなに共通する、という話)
そして「今」(さあ、この活動をみんなでしましょう)
という順番で話を組み立てることで、
人は話し手に共感し、理解を示してくれると言います。
大切なのは、
まず自分の物語を話すことで、
人はそこから共感を得るのです。
「私の話」を「私たちの話」にする。
ワークショップで取り上げられらたいじめ撲滅の活動をするアメリカ人は、
次のような流れでスピーチをしていました。
彼は同性愛者なのですが、そのことをしばらく隠して生きて来ました。
子供の頃から女っぽいといじめられ、
ずっといじめの問題を無くしたいと考えて来たのですが、
ある時、自分が同性愛者だと公言し、
その上で自分が経験したいじめの話をするようになりました。
それは自分だけの話だけではなく、
話を聞いているすべての人の周りで起きているいじめの話なんだと話し、
みんなでいじめを無くして行きましょう!と訴えかけます。
ガンツ博士はこのスピーチを参加者に見せながら、
自分の”物語”を話すことの重要性を説きます。
参加者の日本人の1人が、こんなことを言っていました。
子供の頃から学校や家庭では、
自分のことはいいから、他人のことまず考えなさいと言われてきたので、
自分のことを先に話す習慣がなかったし、悪いことだとさえ思っていた。
これに対し、コメンテーターの大学教授はこう説明していました。
”人に平等にあるべき”という考えがあるために、
自分に限定された話が出来なくなっている。
でも、「自分」から「私たち」に広げて話せばいいんです。
私は独立を機に、マーケティングの本を読んだり、セミナーに参加したりしていますが、
ここでも結論はみんな同じです。
人に物を買わせる、人に活動に参加させるためには、
その人の心を動かすしかないのです。
そして重要なのは、自分の話をして、共感を得ること。
今回の番組を観て、話の組み立て方の重要性を再認識しました。