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過去ブログ(2013.9-2016.7)

駆け出し行政書士、女性支援を考える その3 相続・遺言

女性支援を考える時、「自立」は切っても切れないキーワードになります。

では、「自立」ってどういうことでしょうか。

「自立」とは、経済的に自立すること。

つまり、自分が生活できるお金を自力で調達することです。

この「自立」を手に入れることは、「幸せ」を手に入れることに繋がります。

 

長く続けられる仕事を手に入れた女性のように、自立している女性は安心ですが、

専業主婦や、短時間勤務のパート社員など、自分の収入だけでは生活できない女性も多いと思います。

家族のために尽くして、旦那さんのご両親の介護をされている方もいるでしょう。

そういう方が相続争いに巻き込まれた時、

ひどい場合は、住む家まで無くなってしまうこともあるのです。

 

例えばこんなことです。

A子さんはご主人と一緒に、ご主人の両親の家で暮らしています。

お父さんは長い間病気を患い、入退院を繰り返しています。

お母さんは最近物忘れが激しく、1人で外を歩くと迷子になってしまうこともあります。

過去と現在の記憶も、少し曖昧になってきました。

当然、日常のお世話はA子さんの役目です。

 

さて、ある日とうとうお父さんが亡くなってしまい、

配偶者であるお母さんにすべて相続することにします。

相続税を考えると、配偶者控除を使った方がいいとA子さん夫婦は判断しました。

ところが、この後、突然A子さんのご主人が亡くなってしまいます。

A子さん夫婦には子供がなく、ご主人のご両親の家に住んでいましたので、

A子さんは、お母さんの日常のお世話を続け、今まで通りの生活をしていました。

 

ところが、以前から少し様子が変だったお母さんが、とうとう痴呆症と診断されます。

お父さんが亡くなった時にお母さんが相続した通帳すべてが、お母さんに判断能力がないため、

A子さんが使うことが出来なくなってしまいました。

裁判所に行って「後見人」を付けるように言われたA子さんは、それがどういうことなのか分かりません。

そこで、ずっと疎遠になっていたご主人のお兄さんに連絡を取ると、

A子さんを他人呼ばわりし、お母さんと一緒に住んでいる家は、A子さんにはまったく権利がないもので、お母さんが亡くなった場合、相続出来るのは自分だけだとお兄さんは言います。

A子さんは貯金もなく、家もなくなるかもしれないという不安に駆られながら、

お母さんのお世話する生活を続けることになります。

 

さて、A子さんを救うことは出来なかったのでしょうか。

 

タイミングとしては、お父さんが亡くなる前、まだ全員が元気だった時に、

お父さん、お母さん、ご主人、A子さんの全員で、遺言を書いておけばこのような事態は防げたでしょう。

人は必ず亡くなりますし、病気はいつどんな形で降りかかって来るか分かりません。

それならば、いつどうなってもいいように、亡くなった後の家族のことを考えて、

家や預金をどうしたいのか、家族のために書いておく遺言状。

争い事を防げるのは、この遺言状しかないのです。

 

A子さんのケースのように、特にお子さんがいない場合は、

どんなに一生懸命ご主人のご両親を介護しても、ご主人が先に亡くなってしまうと、自分には何も権利がありません。

想い出の家を追い出されてしまうことだってあるのです。

自分の生活を守るための遺言状を書いてもらうのも、自立するのための行動の一つなんです。

 

自分の場合はどうだろう。

どんな心配事が潜んでいるんだろう。

その疑問にお答えし、予防策を提案するのも私の仕事です。

まだまだ弱い立場の女性を守って行きたいですし、

自立出来る力を手に入れられるよう、応援したいと思います。

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