駆け出し行政書士、女性支援を考える その3 相続・遺言
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女性支援を考える時、「自立」は切っても切れないキーワードになります。
では、「自立」ってどういうことでしょうか。
「自立」とは、経済的に自立すること。
つまり、自分が生活できるお金を自力で調達することです。
この「自立」を手に入れることは、「幸せ」を手に入れることに繋がります。
長く続けられる仕事を手に入れた女性のように、自立している女性は安心ですが、
専業主婦や、短時間勤務のパート社員など、自分の収入だけでは生活できない女性も多いと思います。
家族のために尽くして、旦那さんのご両親の介護をされている方もいるでしょう。
そういう方が相続争いに巻き込まれた時、
ひどい場合は、住む家まで無くなってしまうこともあるのです。
例えばこんなことです。
A子さんはご主人と一緒に、ご主人の両親の家で暮らしています。
お父さんは長い間病気を患い、入退院を繰り返しています。
お母さんは最近物忘れが激しく、1人で外を歩くと迷子になってしまうこともあります。
過去と現在の記憶も、少し曖昧になってきました。
当然、日常のお世話はA子さんの役目です。
さて、ある日とうとうお父さんが亡くなってしまい、
配偶者であるお母さんにすべて相続することにします。
相続税を考えると、配偶者控除を使った方がいいとA子さん夫婦は判断しました。
ところが、この後、突然A子さんのご主人が亡くなってしまいます。
A子さん夫婦には子供がなく、ご主人のご両親の家に住んでいましたので、
A子さんは、お母さんの日常のお世話を続け、今まで通りの生活をしていました。
ところが、以前から少し様子が変だったお母さんが、とうとう痴呆症と診断されます。
お父さんが亡くなった時にお母さんが相続した通帳すべてが、お母さんに判断能力がないため、
A子さんが使うことが出来なくなってしまいました。
裁判所に行って「後見人」を付けるように言われたA子さんは、それがどういうことなのか分かりません。
そこで、ずっと疎遠になっていたご主人のお兄さんに連絡を取ると、
A子さんを他人呼ばわりし、お母さんと一緒に住んでいる家は、A子さんにはまったく権利がないもので、お母さんが亡くなった場合、相続出来るのは自分だけだとお兄さんは言います。
A子さんは貯金もなく、家もなくなるかもしれないという不安に駆られながら、
お母さんのお世話する生活を続けることになります。
さて、A子さんを救うことは出来なかったのでしょうか。
タイミングとしては、お父さんが亡くなる前、まだ全員が元気だった時に、
お父さん、お母さん、ご主人、A子さんの全員で、遺言を書いておけばこのような事態は防げたでしょう。
人は必ず亡くなりますし、病気はいつどんな形で降りかかって来るか分かりません。
それならば、いつどうなってもいいように、亡くなった後の家族のことを考えて、
家や預金をどうしたいのか、家族のために書いておく遺言状。
争い事を防げるのは、この遺言状しかないのです。
A子さんのケースのように、特にお子さんがいない場合は、
どんなに一生懸命ご主人のご両親を介護しても、ご主人が先に亡くなってしまうと、自分には何も権利がありません。
想い出の家を追い出されてしまうことだってあるのです。
自分の生活を守るための遺言状を書いてもらうのも、自立するのための行動の一つなんです。
自分の場合はどうだろう。
どんな心配事が潜んでいるんだろう。
その疑問にお答えし、予防策を提案するのも私の仕事です。
まだまだ弱い立場の女性を守って行きたいですし、
自立出来る力を手に入れられるよう、応援したいと思います。